以前の私は、自分と他人は違うものだと考えていました。
だからこそ、自分に見えているものや、自分が気付いたことには価値があると思っていました。
相手には見えていないかもしれない。
相手はまだ知らないかもしれない。
そうであれば、その情報を伝えることが相手の役に立つのではないかと思っていたのです。
実際、私は長い間、そのような考え方で人と関わってきました。
自分が良いと思ったこと。
自分が学んだこと。
自分なりに役立つと思ったこと。
それらを善意や親切心から相手に伝えてきました。
しかし、その中でひとつ、身に染みて分かったことがあります。
それは、人は自分が求めていないことを受け取ることができないということです。
どれだけ役に立つことであっても。
どれだけ善意から発せられた言葉であっても。
相手がそれを必要としていなければ、その言葉は相手の中に入っていきません。
これは相手が悪いわけでもありません。
また、自分が悪いわけでもありません。
人間とは、そういうものなのだと思います。
自分自身を振り返ってみても同じです。
興味のないこと。
必要としていないこと。
今の自分に関係のないこと。
そういった情報は自然と素通りしてしまいます。
一方で、自分が本当に知りたいと思った時には、たった一言の言葉が深く心に入ってくることがあります。
だからこそ最近は、自分からあれこれ伝えようとすることが少なくなりました。
もちろん、自分の中には気付いていることもあります。
見えていることもあります。
しかし、それをすべて相手に伝える必要があるとは思わなくなりました。
相手には相手の人生があります。
相手には相手の価値観があります。
相手には相手のタイミングがあります。
その人が必要になった時に、その人自身が求めればよいのだと思うようになりました。
もし求められたのであれば、その時に自分の経験や知見を差し出せばよい。
それで十分なのだと思います。
以前は、自分が役に立てるかもしれないと思い、積極的に情報を差し出していました。
しかし今は、相手の人生を尊重することの方が大切だと感じています。
求められたら応える。
必要な時に差し出す。
それ以外は、相手の歩みを信じて見守る。
人との関わりとは、本来そのくらいの距離感で良いのかもしれません。
人は、自分が求めていることしか受け取れません。
だからこそ、相手のためを思うのであれば、無理に何かを伝えようとするのではなく、必要な時に手を差し伸べられる人でありたいと思います。